ごあいさつ

年頭の辞

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2015.01.01


年 頭 の 辞

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会
会 長  富 田 昌 孝


 新年明けましておめでとうございます。平成27年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
 さて、昨年は、タクシー業界の念願であった「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が施行されました。改正タクシー特措法の施行下、4月の消費税率引上げに当たっては、準特定地域で開催された協議会の意見を踏まえた公定幅運賃の公示を経て、円滑に適正転嫁がなされました。
 しかしながら、改正法施行から約1年が経ちますが、未だ改正タクシー特措法の核となる特定地域の指定はなされておりません。これまで全タク連では1日も早い特定地域指定を要望し続けて参りましたが、ようやく昨年末、国土交通省から特定地域の指定基準案が示され、パブリックコメントの募集が行われたところです。昨年6月に政府の規制改革会議から出された意見書は、当時の国土交通省の指定基準案に対し「各指標の評価方法が極めて恣意的かつ不明確である。」と指摘する一方で、「指定基準を適用した結果、特定地域内の営業車両総数が、全国の営業車両総数の半数を有意に下回る割合とすべきである。」とする理解に苦しむ内容でしたが、このような意見が今般の指定基準案に強く影響を与えていると考えられ、改正法案に対する衆参両院の附帯決議に盛り込まれた「客観的な基準」として本当に相応しいものなのかどうか。供給過剰を是正し、乗務員の労働条件を向上させ、利用者の皆様により安全・安心・快適な輸送サービスを提供するという法の目的を完遂するため、業界の実態を的確に反映した法の運用を行うよう国土交通省を中心に強く求めたいと考えております。
 また、改正タクシー業務適正化特別措置法は、本年10月1日施行を予定し、現在13地域で行われているタクシー運転者登録制度が全国へ拡大することとなります。全タク連では、各都道府県協会と連携して本制度の的確な実施に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 事業経営をさらに脅かす重要課題として、燃料価格高騰と労働力不足の問題があります。燃料価格高騰については、昨年12月のCPはプロパン550?/?、ブタン570?/?となり、一時に比べて多少落ち着いたようにも見えますが、急激な円安の影響もあって、依然として経営収支を悪化させております。今後、全タク連では、税制面の優遇措置、財政上の支援、燃料サーチャージ制度導入の検討等、燃料価格高騰対策を早急に講じていただくよう関係各所へ働きかけて参りたいと考えております。また、労働力不足については、タクシー乗務員が若い人・女性にとって働きたいという魅力ある職業として評価されるようになることが何よりも重要であると考えておりますが、実働率低下への緊急的な対策の一つとして、準特定地域における一時的な減車効果をもたらす「預かり休車制度」の創設に取り組みたいと考えております。
 旧タクシー特措法の施行後、各地域においては、事業の適正化と併せて活性化を推進されてきたことと思います。私といたしましても、政府による経済対策が実を結び景気が回復した際、その効果を確実に掴むためにも、現段階から活性化を精力的に推進することが重要であると考えております。引き続き、スマートフォンを活用した配車システム、観光タクシー、福祉・ユニバーサルデザインタクシー、育児支援タクシー、妊婦応援タクシー等の導入・推進に各地域で取り組んでいただくようご理解・ご協力をお願いいたします。また、地域公共交通の充実に向けた新たな制度的枠組みを構築すべく「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の一部改正法が昨年11月に施行され、これらを活用した乗合タクシーの普及を促進していくことが重要だと思っております。
 さて、新潟交通圏のタクシー事業者が実施した運賃変更に対し公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令がなされた件については、これまで関係事業者は、審判を通じて、当該対応が独占禁止法違反ではなかったことについて主張してきたところですが、昨年10月27日、公正取引委員会から審判請求を棄却する旨の審決案の送達がなされ、11月11日、関係事業者は審決案に対する異議申立書及び意見陳述の申出書を公正取引委員会へ提出しました。今般、このような内容の審決案が示されたことは誠に遺憾であり、全タク連としては、新潟業界の取組に対して引き続き全力で支援を行っていくとともに、当該対応が独占禁止法違反ではなかったことについて当局の理解が得られることを強く望んでおります。
 昨年9月、国土交通省の交通政策審議会に「豊かな未来社会に向けた自動車行政の新たな展開に関する小委員会」が設置され、自動車行政において速やかに講ずべき施策及び今後10年程度先までの自動車行政の新たな展開の方向性が検討されております。タクシー業界にとって重要なテーマが含まれており、全タク連としてもしっかり参画・対応をしていきたいと考えております。
 旧タクシー特措法の成立によって、タクシーは明確に公共交通機関として定義され、業界が引き続き社会的責任を果たしていくことが重要であると考えております。これまで述べた課題のほか、交通事故防止の徹底、環境対策の推進、地域防犯活動への参加等、従来からの様々な取組に対しても着実に推進していきたいと考えております。
 最後になりますが、本年もお客様、従業員、経営者にとって良き産業へ発展するため、全力を尽くす所存でございますので、従来以上のご理解とご支援を賜りますようお願いし、また会員各位のご繁栄とご健勝をお祈りして、年頭のご挨拶といたします。