関連資料・情報
常任理事会・富田会長挨拶
関連資料・情報>常任理事会・富田会長挨拶
2008.01.10
1月9日、ホテルメトロポリタンエドモントで開催された常任理事会において富田会長から挨拶が行われました。
会員事業者の皆さん、新年明けましておめでとうございます。昨年5月30日の通常総会において私が全乗連会長に就任してからの7ヶ月間を改めて振り返ると共に、これから先の全乗連の課題・活動指針について、私の考えの一端を幾つか述べさせていただきたいと思います。
昨年は私どもタクシー業界にとりまして念願とも言える運賃改定に各地の業界で取り組んでいただき、申請のあった地域につきましては一応の決着がつきました。しかしながら、審査中の申請取り下げや、一部低運賃事業者などの存在によりいまだ申請に取り組めていない地域も少なからず残しています。この正月三が日にも原油は1バレル当たり100ドルを越えるなど依然として高騰を続けており、予断を許しません。また、新運賃実施に当たって国民との公約となった乗務員の労働条件改善の観点からも、これら未申請地域の問題を放置することはできません。とは言え、低運賃事業者の存在を理由とする運賃改定の遅れは一部地域においては、同一地域・同一運賃の時代から見られた、旧くて新しい課題であります。全乗連としてこれらの地域にどのような力添えが可能かは非常に難しい問題であり、我々会員事業者はその英知を結集する必要があります。地域の事業者だけでも解決は難しいでしょうが、「全乗連に任せておけば何とかなる」という問題でもありません。
次に「再規制運動」の今後の進め方についてであります。タクシー規制緩和から早くも丸6年が過ぎようとしています。この間、政府の言うように「タクシー規制緩和には光と影がある」というよりも、その影の部分ばかりが目立つようになりました。その結果、3年前には顧みられることのなかった仙台市の逆特区構想も、制度改正により同市が、緊急調整地域に指定されることとなり、同時に特定特別監視地域などの新たな増車抑制策に結実、また、大阪では社会保険料の納付状況実態調査や預かり減車制度の部分的復活など、結果として我々業界の主張が形を変えて認められることとなりました。東京では運賃改定に際していわゆる「タクシーの構造問題」が指摘され、国土交通省は本年1月から交通政策審議会に「タクシー事業を巡る諸問題に関するワーキング・グループ」を設置し、今後1年程度を掛けて、論議を始めることになりました。全乗連からは坂本克己副会長、三浦宏喜副会長と私が参加することになっています。国交省によりますとこの会議は東京の運賃改定で紛糾した物価安定政策会議の延長線上に位置付けられ、必ずしも私ども業界が望んだ規制緩和の見直しを中心議題とするものではありません。しかしながら「再規制」について論議すること、そのものは妨げないとされており、我々はそこで精一杯の主張をして参る覚悟であります。
そこで全乗連としての交政審への今後の対応ですが、会議が開催されるたびごとに必要な議論を次回の会議で行い、業界としての適切な主張を展開する必要が出てきます。そのため全乗連としては従来、月1回の開催となっていた正副会長会議は交政審終了までの期間、随時開催することとし、実態としては月2回以上の開催をお願いすることもあるでしょう。交政審への対応は一部業界役員への丸投げではなく、あくまで業界全体で考えることが大事です。そのためこれまでに私が会長として全国行脚を行った中で地方の会員事業者の皆さんから直接吸い上げた声は勿論のこと、昨年設置されたばかりの地方問題特別委員会での取りまとめ、その他の専門委員会で十分に尽くされた論議の結果を適時適切に反映させていくためにも正副会長会議の機動的な開催が是非とも必要と考えています。
また、再規制問題については業界独自の主張に中立・公正な裏づけを与えるために全乗連に「第三者機関」を設置することとしています。これまでに年金問題や格差問題の悪化などで国民の政府への信頼は揺らいでいますが、だからといってタクシー業界が国民から十分な信頼を得ているとは言いがたいことは、昨年の事業者大会で私が述べた通りです。そこで、この第三者機関にはタクシー事業者は直接参画せず、会議の段取りや資料作成などの裏方に徹することとしました。メンバーは学識者・有識者のみで構成することとし、座長には数度に渡る面接の結果、成城大学の岡田清・名誉教授にご就任いただくこととしました。岡田先生にはのちほど、講演をお願いしてありますのでよくお話を聴いていただくようお願い致します。
マスコミ界をはじめとし、いまだに「改革のための改革」が幅を利かせている世の中でありますが、だからこそ、我々業界人とは異なった観点から、タクシー規制緩和を検証していただき、必要に応じて第三者機関で提起された論点についても交政審に持ち込みたいと考えています。タクシー業界に寄せられる批判の中で「業界の常識は世間の常識」ということがしばしば取りあげられます。しかしながら市場原理が有効に働かなかったという時点で世間の常識がタクシー産業では通用しないことは明らかです。業界と世論・行政との間にこうした常識に対する認識のズレが存在していること、そのズレは我々自身の広報不足による影響も小さくないとの反省に立ちながら、「タクシーの不可思議さ」を十分に理解していただけるよう全力を傾ける所存です。その結果、「タクシーの再生」が果たせるものと私は確信しています。
また、いわる「再規制」という表現についてですが、「この規制緩和は何かがおかしい」というボールを投げかけたという意味合いが込められています。端的に現状を言い表した言葉として歓迎、評価する意見がある一方で「もっと適切な言い方はないのか?」という議論そのものは私も歓迎するところであり、「こうしたらどうか」というご意見があればドシドシお寄せ下さい。
ところで「再規制」と一口に言いますが、「それは果たして実現可能か?」という疑問をお持ちの方々も少なくないことでしょう。需給調整効果はストレートな規制によらず、運転者資格の強化などにより結果としてたらされるものであるべきだとする意見もないわけではありません。そこで海外での再規制の実例を一つご紹介しておきたいと思います。米国・アトランタでタクシー規制緩和が実行され、これが失敗に終わったため再規制されたことは皆さんご承知のことと思います。ある学者の論文から引用しますと、アトランタでは1966年に規制緩和がなされ、その結果タクシーの台数は倍増しました。サービスの低下や安全性の問題が当然のように惹起し、この結果70年代にはタクシー業を管轄する市の条例改正の試みがなされ76、77、78、80年と小出しに改革を進めましたが効果はなく、結局、市直属の第三者機関が発足することにより需給調整規制を盛り込んだ新条例が81年になってようやく制定されるに至ったのです。このように再規制は不可能ではないし、実例も存在しています。その一方でアトランタの場合でも規制緩和から再規制まで5年を要しています。また、76年の規制の見直し着手からでも5年を要しています。このように再規制への道のりは不可能なものではないものの、長く困難なものです。タクシーが倍増してしまってから「再規制」と言っても遅すぎることは、こうした例からもご理解いただけるものと思います。
さて、本年は政治的にも経済的にも情勢は非常に混沌とした年となりそうです。昨年の参議院選挙後、衆参捩れ国会となっており、当面政局の流動化は避けられそうもありません。我々の訴える再規制についてもその成否は最終的には政治判断となることでしょう。交政審、第三者機関を通じた正々堂々の論議は勿論のこと、そこでの結論を生かせるか否かは最終的にはどれだけ世論の支持を得、かつまたより多くの国会議員の支持を得られるかに掛かっています。会員事業者の皆さんにおかれては、各都道府県協会を通じて、あるいは各々の事業者ごとに、より多くの先生方の理解を得る努力を続けて下さるよう、私からもお願いをしておきたいと思います。
最後になりましたが、本年はタクシー規制緩和の抜本的な見直し、すなわち再規制について論議する、最後のチャンスとなる年だと考えています。これを逃せば向こう10年は力による淘汰に身を任せるほかはなくなります。会員事業者の皆さんにもその覚悟で、さらなる御協力をお願いして私の新年のあいさつに代えさせていただきます。
以上
会員事業者の皆さん、新年明けましておめでとうございます。昨年5月30日の通常総会において私が全乗連会長に就任してからの7ヶ月間を改めて振り返ると共に、これから先の全乗連の課題・活動指針について、私の考えの一端を幾つか述べさせていただきたいと思います。
昨年は私どもタクシー業界にとりまして念願とも言える運賃改定に各地の業界で取り組んでいただき、申請のあった地域につきましては一応の決着がつきました。しかしながら、審査中の申請取り下げや、一部低運賃事業者などの存在によりいまだ申請に取り組めていない地域も少なからず残しています。この正月三が日にも原油は1バレル当たり100ドルを越えるなど依然として高騰を続けており、予断を許しません。また、新運賃実施に当たって国民との公約となった乗務員の労働条件改善の観点からも、これら未申請地域の問題を放置することはできません。とは言え、低運賃事業者の存在を理由とする運賃改定の遅れは一部地域においては、同一地域・同一運賃の時代から見られた、旧くて新しい課題であります。全乗連としてこれらの地域にどのような力添えが可能かは非常に難しい問題であり、我々会員事業者はその英知を結集する必要があります。地域の事業者だけでも解決は難しいでしょうが、「全乗連に任せておけば何とかなる」という問題でもありません。
次に「再規制運動」の今後の進め方についてであります。タクシー規制緩和から早くも丸6年が過ぎようとしています。この間、政府の言うように「タクシー規制緩和には光と影がある」というよりも、その影の部分ばかりが目立つようになりました。その結果、3年前には顧みられることのなかった仙台市の逆特区構想も、制度改正により同市が、緊急調整地域に指定されることとなり、同時に特定特別監視地域などの新たな増車抑制策に結実、また、大阪では社会保険料の納付状況実態調査や預かり減車制度の部分的復活など、結果として我々業界の主張が形を変えて認められることとなりました。東京では運賃改定に際していわゆる「タクシーの構造問題」が指摘され、国土交通省は本年1月から交通政策審議会に「タクシー事業を巡る諸問題に関するワーキング・グループ」を設置し、今後1年程度を掛けて、論議を始めることになりました。全乗連からは坂本克己副会長、三浦宏喜副会長と私が参加することになっています。国交省によりますとこの会議は東京の運賃改定で紛糾した物価安定政策会議の延長線上に位置付けられ、必ずしも私ども業界が望んだ規制緩和の見直しを中心議題とするものではありません。しかしながら「再規制」について論議すること、そのものは妨げないとされており、我々はそこで精一杯の主張をして参る覚悟であります。
そこで全乗連としての交政審への今後の対応ですが、会議が開催されるたびごとに必要な議論を次回の会議で行い、業界としての適切な主張を展開する必要が出てきます。そのため全乗連としては従来、月1回の開催となっていた正副会長会議は交政審終了までの期間、随時開催することとし、実態としては月2回以上の開催をお願いすることもあるでしょう。交政審への対応は一部業界役員への丸投げではなく、あくまで業界全体で考えることが大事です。そのためこれまでに私が会長として全国行脚を行った中で地方の会員事業者の皆さんから直接吸い上げた声は勿論のこと、昨年設置されたばかりの地方問題特別委員会での取りまとめ、その他の専門委員会で十分に尽くされた論議の結果を適時適切に反映させていくためにも正副会長会議の機動的な開催が是非とも必要と考えています。
また、再規制問題については業界独自の主張に中立・公正な裏づけを与えるために全乗連に「第三者機関」を設置することとしています。これまでに年金問題や格差問題の悪化などで国民の政府への信頼は揺らいでいますが、だからといってタクシー業界が国民から十分な信頼を得ているとは言いがたいことは、昨年の事業者大会で私が述べた通りです。そこで、この第三者機関にはタクシー事業者は直接参画せず、会議の段取りや資料作成などの裏方に徹することとしました。メンバーは学識者・有識者のみで構成することとし、座長には数度に渡る面接の結果、成城大学の岡田清・名誉教授にご就任いただくこととしました。岡田先生にはのちほど、講演をお願いしてありますのでよくお話を聴いていただくようお願い致します。
マスコミ界をはじめとし、いまだに「改革のための改革」が幅を利かせている世の中でありますが、だからこそ、我々業界人とは異なった観点から、タクシー規制緩和を検証していただき、必要に応じて第三者機関で提起された論点についても交政審に持ち込みたいと考えています。タクシー業界に寄せられる批判の中で「業界の常識は世間の常識」ということがしばしば取りあげられます。しかしながら市場原理が有効に働かなかったという時点で世間の常識がタクシー産業では通用しないことは明らかです。業界と世論・行政との間にこうした常識に対する認識のズレが存在していること、そのズレは我々自身の広報不足による影響も小さくないとの反省に立ちながら、「タクシーの不可思議さ」を十分に理解していただけるよう全力を傾ける所存です。その結果、「タクシーの再生」が果たせるものと私は確信しています。
また、いわる「再規制」という表現についてですが、「この規制緩和は何かがおかしい」というボールを投げかけたという意味合いが込められています。端的に現状を言い表した言葉として歓迎、評価する意見がある一方で「もっと適切な言い方はないのか?」という議論そのものは私も歓迎するところであり、「こうしたらどうか」というご意見があればドシドシお寄せ下さい。
ところで「再規制」と一口に言いますが、「それは果たして実現可能か?」という疑問をお持ちの方々も少なくないことでしょう。需給調整効果はストレートな規制によらず、運転者資格の強化などにより結果としてたらされるものであるべきだとする意見もないわけではありません。そこで海外での再規制の実例を一つご紹介しておきたいと思います。米国・アトランタでタクシー規制緩和が実行され、これが失敗に終わったため再規制されたことは皆さんご承知のことと思います。ある学者の論文から引用しますと、アトランタでは1966年に規制緩和がなされ、その結果タクシーの台数は倍増しました。サービスの低下や安全性の問題が当然のように惹起し、この結果70年代にはタクシー業を管轄する市の条例改正の試みがなされ76、77、78、80年と小出しに改革を進めましたが効果はなく、結局、市直属の第三者機関が発足することにより需給調整規制を盛り込んだ新条例が81年になってようやく制定されるに至ったのです。このように再規制は不可能ではないし、実例も存在しています。その一方でアトランタの場合でも規制緩和から再規制まで5年を要しています。また、76年の規制の見直し着手からでも5年を要しています。このように再規制への道のりは不可能なものではないものの、長く困難なものです。タクシーが倍増してしまってから「再規制」と言っても遅すぎることは、こうした例からもご理解いただけるものと思います。
さて、本年は政治的にも経済的にも情勢は非常に混沌とした年となりそうです。昨年の参議院選挙後、衆参捩れ国会となっており、当面政局の流動化は避けられそうもありません。我々の訴える再規制についてもその成否は最終的には政治判断となることでしょう。交政審、第三者機関を通じた正々堂々の論議は勿論のこと、そこでの結論を生かせるか否かは最終的にはどれだけ世論の支持を得、かつまたより多くの国会議員の支持を得られるかに掛かっています。会員事業者の皆さんにおかれては、各都道府県協会を通じて、あるいは各々の事業者ごとに、より多くの先生方の理解を得る努力を続けて下さるよう、私からもお願いをしておきたいと思います。
最後になりましたが、本年はタクシー規制緩和の抜本的な見直し、すなわち再規制について論議する、最後のチャンスとなる年だと考えています。これを逃せば向こう10年は力による淘汰に身を任せるほかはなくなります。会員事業者の皆さんにもその覚悟で、さらなる御協力をお願いして私の新年のあいさつに代えさせていただきます。
以上